10.30
アーティスト・サポート・プログラム
enoco [study?] #4 入選アーティスト決定!

「社会や他者との関わりを通して、アートの可能性を拓(ひら)くこと」をテーマに、若手アーティストの制作活動と展覧会のサポートを行うプログラム、enoco [study?] 。第4回目となる今年度は、2016年8月1日~9月30日の間に募集を行い、審査員とenocoスタッフによる厳正な審査の結果、冬木 遼太郎を入選者として決定いたしました。
ご応募いただいた皆様には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

冬木 遼太郎さんには2016年12月~2017年2月の3ヶ月間、enocoを拠点とした制作活動を行っていただきます(制作期間中、アトリエ公開ほかを予定)。また2017年3月にはenoco展示室にて展覧会を開催する予定です。
日程などの詳細・プロジェクトの進捗は、随時ホームページやSNSなどでお知らせしていきます。今後の展開にご期待ください。

enoco [study?] #4 審査結果

<入選アーティスト>
冬木 遼太郎(ふゆき りょうたろう)

プラン内容

テーマ:
『”あいだ”を考察する』

企画内容について:
私はこれまで、作品を「自分の延長と外界が落ち合う場所」と捉え制作してきました。
enoco[syudy?]#4は「社会や他者との関わりを通してアートの可能性を拓くこと」を旨としています。そういった本企画の趣旨と自分の制作の接地点を考えた際に『”あいだ”を考察する』ということをテーマにしたいと感じました。
自分と他者の”あいだ”、じぶんと外界の”あいだ”、作品と制作と労働の”あいだ”、時間の流れの中で進行する複数の事象の”あいだ”、といった様々なあいだの領域を再考することが新たな発見につながるのではないかと考えています。

 

制作・展示プロセス:
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1. リサーチ
・大阪府の所蔵作品(貸出可能なもの)から江之子もしくはその周辺にまつわる作品をピックアップ。描かれた場所、対象物や制作背景を調査し、情報収集を行う。
・フィールドワークを行い、江之子における周知のもの(場所、建築物に限らない)を探す。なぜそれが、地域の中でランドマーク的存在になったかについて、聞き取りを行う。
・公共空間における「他者の意志」が内包されているシチュエーションを、フィールドワークによって採集する。
2. フィードバック・制作
リサーチによってピックアップした要素を整理し、作品化する。主に立体を用いた複合的な展示を計画している。
3. 展示
本プログラムの成果としての展示を行う。実作品を前に多くの人からの意見を聞き、これからの制作に還元する。

 

展示イメージ: 

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街と自分の間を考えた際に、公的な場所における個人の差異を必要としない労働と、作品制作という作り手の意図が明確にある行為のあいだに何かがあるのではないかと思う。
その周辺の視覚化、その二項のあいだに位置するものを作ることが、地域を考察するひとつのポイントになってくるのではないか。
作品イメージは「労働」を作品に取り入れる一例。展示空間の真ん中に柱を作り、作業コンテナがその周りを移動する仕組みの作品。

 

今後のスケジュール(予定):

○中間レビュー:2017年1月下旬
リサーチの成果や制作の進捗、展覧会の構想について、アーティストが発表します。

○展覧会:2017年3月11日~3月30日
3ヶ月にわたる活動の成果を展覧会として発表します。
※スケジュールは変更となる場合があります。詳細はウェブサイトにてご確認ください。

 

アーティストプロフィール

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Photo : Natsumi Kinugasa

冬木 遼太郎(ふゆき りょうたろう)
http://ryotarofuyuki.com/

略歴
1984/08 大阪府生まれ
2008/03 京都造形芸術大学 情報デザイン学科先端アートコース 卒業
2010/03 京都市立芸術大学大学院 美術研究科彫刻専攻 修了

主な展示
< 個展 >
2005/07 “Risky exercise 1” ホールオブホールズ六甲, 神戸
2005/08 “Risky exercise 2” サイギャラリー, 大阪
2007/10 “Invasion, Lay, Late result” CAP HOUSE, 神戸
2010/09 “Welcome” サイギャラリー, 大阪
2011/12 “SAYING” ハイネストビル, 京都
2013/11-12 ”PRESIDENT” ARTZONE, 京都
2014/11 “5 holes” サイギャラリー, 大阪
2016/01 ”Ryotaro Fuyuki solo exhibition” サイギャラリー, 大阪

< グループ展 >
2006/10 “TRANSIT 2007” Dギャラリー, 名古屋
2008/10 “NOTE” 烏丸アートコート, 京都
2009/09 “NOTE” 烏丸アートコート, 京都
2009/12 “Group show” サイギャラリー, 大阪
2012/04 “ANTEROOM PROJECT” ホテルアンテルーム京都, 京都
2014/05 ”Making Sense Out of Nonsense” 京都芸術センター, 京都
2015/04 ”Before Night Falls 夜になるまえに” ARTZONE, 京都

受賞歴
2004/08 ホールオブホールズ六甲 アートアワード 2004 大賞受賞
2010/02 京都市立芸術大学制作展 大学院市長賞 受賞

過去作品

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作品画像1:
Courbet(exit) クールベ(出口)
2014, mixed media, 3200×2915mm
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作品画像2:
“Radio clock and dust”
2011, mixed media, 750Å~1250Å~h680mm, The clock disturb the our stop for understanding.

 

審査について

40歳以下の若手アーティストを対象に公募を行い、提出頂いた作品プラン、ポートフォリオなどをもとに、「美術作品・プロジェクトとしてのオリジナリティがあるか」「社会や他者と関わることへの積極的な姿勢があるか」「プランの計画性・実現可能生は十分か」「enocoという場(施設)の特性を考慮した提案がされているか」「今後の創作活動につながる将来性・発展性があるか」という5項目の審査基準に基づき、100点満点の得点制で審査を実施しました。
各作品に関するディスカッションを行った後、各自審査基準に基づき点数にて評価を行い、その合算で得点数の多かったアーティストを絞り、本事業で取り組む意義があるか、本事業趣旨に合致しているかを議論し、入選者1名を決定しました。
[選評]
奥村 一郎(和歌山県立近代美術館 学芸員)

今日、各地には多数のレジデンスプログラムがあり、その公募に関しては、ある程度の傾向と対策ができているように感じられるときがあります。そして実際の事業についても、地域性の違いがあるとはいえ、(特に参加型プロジェクトについては)類似した企画も多く見られるのではないでしょうか。
今回の審査では、行う前から結果がおおよそ予想できるようなプラン(実現可能性が高いとしても)より、enoco[study?]を通じて、作家にとっても、enocoにとっても、これまで見たこと、体験したことがない新しい風景や物事が、生み出されるかどうかを重視しました。
選出された冬木遼太郎さんは、これまで作品を「自分の延長と外界が落ち合う場所」と捉えて制作されてきました。今回は「”あいだ”を考察すること」をテーマに、「労働」と作品制作の“あいだ”に注目します。また労働も含めた人間の行為に潜む「他者の意思」を、公共空間のなかにリサーチし、私的な意思としての作品制作との関係を探ります。過去作品でも、様々な関係性をスリリングなかたちで作品化されてきた冬木さんですが、今回どのようなかたちでアウトプットされるのか、とても楽しみにしています。
小林 瑠音(文化政策研究者(神戸大学大学院博士後期課程在籍、日本学術振興会特別研究員))

「社会や他者との関わりを通してアートの可能性を拓く」という[enoco study?] の課題を、3ヶ月という短期間で可視化するには、ある程度明確な問いと跳躍力が必要です。
実際に、今回の応募企画の中には、enocoの場所性やテーマ性に沿った非常に完成度の高いプランが多く、選出には大変苦労しました。確かに、それらの多くには、既に安心して任せられる頼もしさがありましたが、冬木遼太郎さんのプランにはその安定感が絶妙な塩梅で欠けていた。つまりは、enocoのスタッフを含めた「社会」や「他者」側が介入してはじめて動き出すような空白地点が残されているように感じました。enocoという公共文化施設には、そういった予測不能性を温めていく場所であり続けていただきたい、という願いも込めて冬木さんのプランを選出した次第です。
社会もアートもやや「関わり」疲れしているような近年のアートシーンにおいて、再度両者が関係することの意義を、身をもって体現してくださりそうな可能性に期待しています。現代アート専門のスペースではないからこそ、機能しない用語や時間感覚があり、そこに立ち現れる迷いや偶然性の「あいだ」を熟考していった先に何が見えるのか、とても楽しみにしています。
[総評]
吉原和音(江之子島文化芸術創造センター 企画部門)

今年で4回目となるアーティスト・サポート事業enoco[study?] ですが、今回から新しく、審査員に和歌山で活動されている奥村さん、大阪・神戸で活動されている小林さんのお二人をお迎えし審査を行いました。今回の応募プランは、[study?]のテーマである「社会や他者と関わりながら作品をつくる」ことを理解し、その制作プロセスや最終の展覧会への落とし込みについて、イメージを抱きやすい完成されたプランが多かったように思います。したがって、審査は過去最長時間を記録し白熱したものとなりました。
冬木さんのプランは、ご自身の制作テーマである”あいだ”を制作環境と他者との関わりの中で制作を通して再考していくという、不確定な部分を残している点で大変興味深いものでした。
本プログラムは、3ヶ月という長くもなく、短くもない期間であるからこそできる実験と実践の場でもあります。その実験こそが、アーティストによる社会への多様な関わり方・拓き方を表していると信じ、enocoはパブリックな施設として「あいだ」に佇み、その実験を社会や地域、他者、そしてアーティスト自身に仕掛けるサポートをしていきたいと思います。これから3月までの間、冬木さんと様々なstudyに取り組んでいくことができればと思います。ぜひご期待ください。

公募概要

募集期間
2016年8月1日(月)– 9月30日(金)

募集人数
1名(1グループ)

応募条件
・2016年9月末日時点で40歳以下であること
・経歴・国籍不問
・日本語でのコミュニケーションがとれること

サポート内容
・制作用アトリエの無償貸与(ルーム11 約35.3㎡を予定/10:00–21:00 月曜休館)
・制作補助費10万円の支給
・広報サポート(WEBサイト等での広報、プレスリリース発行、チラシ作成など)
・enocoスタッフによる制作・展覧会企画実施サポート
・ゲスト審査員によるレビュー・アドバイス

入選アーティストに課せられる要件
・2016年12月から2017年2月にかけて、展覧会のための新作を制作すること
・2017年3月11日から約3週間、enocoにて展覧会を開催すること
・制作期間中にワークショップを実施すること
・enoco館内のアトリエを使用する場合は、制作期間中に複数回アトリエ公開を行うこと
・展覧会プランについて中間発表を行うこと(1月下旬を予定)
・展覧会終了後にプログラムのレポートを提出すること(WEBサイトにて公開予定)
※入選アーティストには、今後enocoが実施する事業への参画をお願いする場合があります。

審査員

奥村 一郎|ICHIRO OKUMURA
和歌山県立近代美術館 学芸員
1998年より現職。近年関わった展覧会に「森のなかで:内山りゅう/押江千衣子/栗田宏一/高木正勝/銅金裕司/戸谷成雄」(2007)、「なつやすみの美術館「みること」「うつすこと」」(2011)、「生誕120年記念 石垣栄太郎展」(2013)、特集「光について」(2015)、「恩地孝四郎展」(2016)など。市民と協働したプロジェクトに「鈴木昭男:点音 in 和歌山 2005」、およびその10周年を記念した「鈴木昭男+梅田哲也:点音 in 和歌山 2015」など。

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小林 瑠音|RUNE KOBAYASHI
文化政策研究者(神戸大学大学院博士後期課程在籍、日本学術振興会特別研究員)
英国ウォーリック大学大学院ヨーロッパ文化政策・経営専攻修士課程修了。専門は英国文化政策、コミュニティ・アート史。2015年度まで浄土宗應典院アートディレクターを務める。主な企画展に、木村幸恵展「Crystal Canopy」(2012)、前谷康太郎展「samsaara(輪廻転生)」(2013)、mizutama写真展「wearは食べない」(2013)、hyslom展「大家さんの伝書鳩」(2014)、合同展「対内・体内・胎内・タイナイ~四体~」(2015)、武田力展「そらには やんわり うかんでる」(2016)等。京都造形芸術大学アートプロデュース学科非常勤講師。
*enoco[study?]#1,#2,#3のレポートについてはこちら
http://www.enokojima-art.jp/enoco_study/

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