アーティスト・サポート事業
enoco [study?] #2 入選アーティスト決定!

若手アーティストと恊働しながら「アートの可能性」や「社会や他者に対してひらいていくこと」について [ study? ] する「アーティスト・サポート事業enoco [ study?] 」。

第2回目となる今年度は、2014年6月1日(日)〜8月31日(日)の間に募集を行い、審査員による厳正な審査の結果、堀川すなおさんを入選アーティストとして決定いたしました。

ご応募いただいた皆様には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

入選アーティストである堀川すなおさんには2013年10〜12月の3ヶ月間、enocoを拠点とした制作活動を行っていただきます(制作期間中、1回以上のワークショップとオープンアトリエを実施します)。また1月にはenoco展示室にて展覧会を開催する予定です。

日程などの詳細・プロジェクトの進捗は、ホームページに随時掲載していきます。今後の展開にご期待ください。

 

アーティスト・サポート事業 enoco [study?] #2 審査結果について

 

入選アーティスト:堀川すなお(ほりかわ・すなお)

 

プラン内容

「目の前にある その もの本来の姿はなにか?」

公の制作場所やワークショップを通じて多くの人と出会い、人はものをどのように見ているか、ということを探り考えたいです。

企画内容について

目の前にある もの その本来の姿を探るため、制作をしています。

ものの名前を聞いたとき、私たちの頭の中では容易にその形をイメージすることができます。その共通のイメージによって私達はコミュニケーションを図っています。
しかし、実際にそのものをあらゆる角度、距離から見てみると、今まで気づかなかった多くの部分が見えてきました。

私の制作方法は、ひとつのものを数ヶ月間かけてじっくりと見て、描きます。そして目の前にあるもの、その本来の姿は一体何か、を多くの視点から描いたドローイングを見せることで問うています。
しかしふと思ったことは、一つのものを私一人の見方で見て描くことは、その結果見えるのは私のものの見方だけになってしまうのではないかということです。

私はenoco[study?]で、公の制作場所やワークショップを通じて多くの人と出会い、人はものをどのように見ているか、ということを探り考えたいです。
 具体的には、出会った人に一つのモチーフを決め、そのモチーフをじっくりと見てドローイングを描いてもらいます。できるだけ複数描いてもらいます。その理由は、ある人を見ていた時に、2、3枚目はものに対してすでに知っているイメージを描いていたのですが、既存のイメージを描ききった2、3枚目以降、目の前にある対象と対峙し描いていたからです。対象と対峙することで見えてくるものを通して、私の制作の課題としている、目の前にあるもの、その本来の姿はなにか、ということを考えたいです。
そして、一つのものに対して多くの人がじっくりと見たドローイングを展示することで、私達が共通に持っていたイメージとは何か、を考えるきっかけを作りたいです。
そこから私自身、ものの本来の姿をより広い見方で捉えることができるように学びたいです。

 

制作・展示プロセス

モチーフの決定
ドローイングのワークショップを実施
考察・まとめ
(ワークショップからの流れを複数回くりかえす)
(※途中、中間レビューを実施)

展示

 

プロフィール

 

堀川 すなお
http://sunaohorikawa.com/

 

略歴

1986年 東大阪生まれ
2008年 クーパーユニオン芸術大学(ニューヨーク)交換留学生
2010年 京都精華大学 芸術学部造形学科洋画専攻 卒業
2012年 京都市立芸術大学美術研究科絵画専攻油画分野 修了

主な個展・グループ展

2013 クオテリオム87 堀川すなお/水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室、茨城
2010 descriptive geometries/Kodama Gallery、京都

グループ展

2013 科学のあとに詩をかくこと/京都精華大学7号館7-23ギャラリー、京都
2012 VOCA展—新しい平面の作家たち2012/上野の森美術館、東京
 アートアワードトーキョー丸の内2012/行幸地下ギャラリー、東京
 視域/京都精華大学7号館7-23ギャラリー、京都
2011 G tokyo 2011/森アーツセンターギャラリー、東京
 作品中!/ギャラリー16、京都
 制作展/京都市美術館、京都
 ignore your perspective/Kodama Gallery、東京
2010 蓄積による絵画/ギャラリー16、京都
 DON’T FREEZE/くずはアートギャラリー、大阪
2008 NEW WORK/グレートホールギャラリー、ニューヨーク
 POP exhibition/ギャラリーRAKUでのサテライト.バー超能力、京都
 opening no selection/バー超能力、京都
 Method for seeing distant place展/ART SPACE 其の延長、京都

パブリックコレクション

京都銀行
JAPIGOZZI Collection(イタリア)
STARSBURGO

過去作品

lighter no.1~192 #2 (2010)
h240cm×w780cm
色鉛筆、あい紙
lighter no.1~192 #2(部分) (2010)
色鉛筆、あい紙

 

審査方法について

提出頂いた作品プラン、ポートフォリオなどをもとに、「プランのオリジナリティ」「制作プロセスの計画性」「今後の発展性」等7項目の審査基準に基づき、80点満点の得点制で審査を実施しました。

各作品に関するディスカッションを行った後、各自審査基準に基づき点数にて評価を行い、その合算で得点数の多かったアーティストを絞り、本事業で取り組む意義があるか/本事業趣旨に合致しているかを議論し、入選者1名を決定しました。

 

審査員コメント

平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員、つくるビルアドバイザー)

enocoでなにを「study」するか。応募者に問われていたのは、studyすることの可能性であり、それをオープンにする姿勢でした。

 今回の公募では、新しさや地域性に魅力あるプランもありましたが、堀川すなおさんは今回の応募者のなかで唯一問いを立て、なにを「study」するかが明確でした。問いである「目の前にある もの その本来の姿はなにか?」は、言い回しこそ違えど美術史においてつねに問われ続ける問いで新しさはありません。しかし、作家自身のこれまでの制作課題と接続していること、他者との交流がきっかけで生まれた問いであることに書類対策ではない日頃の「study」が表れていました。応募資料ではプロセスの具体的な記述には欠けましたが、あらためてこの問いを共有したいと思います。堀川さんがこの問いをいかに他者や社会と共有、協働、考察していくか、安易な答えを求めない問いの深化・実践に期待しています。

 

宮本典子(アートマネジメント・コンサルティング office N 代表/ART OSAKA事務局)

応募者プランの傾向として、募集要項に書かれている「社会に対してひらいていくこと」「study=能動的に勉強する・検討する・観察する・練習する」あるいは「社会や他者と関わることに対する姿勢」という課題を、素直にプランの中に落とし込んでいるものが多かったように思います。具体的には都市をサーヴェイする案や、ワークショップを介して他者と関わろうとする案です。

今回選んだ堀川すなおさんのプランは、その点では一見、個人的な関心や問題意識に基づいた制作プランと言えますが、目の前で見ているものを一度疑い、見て知っていることは何かを、独自の表現技法をもって追求している真摯な姿勢が伝わってきました。直接的に分かりやすく社会と繋がっている案ではありませんが、美術表現を通して人々の意識を変えようとする骨太さと、選ぶモチーフによって、歴史的にも、工学的にも、自然美学的にも様々に掘り下げられる豊かさがあると感じ、将来の発展性を感じました。

そしてこのような作品制作では、どうしても内に閉じてしまう傾向がありますが、本支援事業の特色であるワークショップで他者を介在させて、少しでも多くの新しい視点や気付きを積むことが今後の作家活動の糧になると期待し、選出致しました。

 

峯恵子(江之子島文化芸術創造センター企画部門)

「制作プロセスを他者や社会に対してひらいていくこと」を条件のひとつとして掲げたこのプログラムにおいて、「社会」や「他者」というものに対する各アーティストごとの認識は本当にさまざまで、審査員のお二人との議論を重ねる中でもたくさんの発見がありました。大阪あるいはenocoの周辺地域の中で「社会」や「他者」と関わるプランを考えたアーティストが多かった中、堀川すなおさんはより普遍的なテーマ設定の作品を提示しました。これまで一貫して繊細で精密な平面作品を制作してきた彼女ですが、「ものを見る」という普遍的な行為の中に他者を介在させることが作品にどのような影響をもたらすのか、また作品が他者の「ものの見方」をどのように変えていくのか。これから約3ヶ月半にわたる彼女の[study]を、全力でサポートさせていただければと思います。

 

公募概要

募集人数 1名(1グループ)
応募条件 ・2013年5月末日時点で40歳以下であること
・経歴・国籍不問(ただし、日本語でのコミュニケーションがとれること)
・個人・グループは問わない(グループの場合は、全員が全員が2013年5月末日時点で40歳以下であること)
・美術分野のアーティスト(ジャンルは問わない)
・2013年7〜9月にenocoでの制作活動が可能であること
・ 本事業における「課せられる要件」(後記)を了解していること
サポート内容 ・制作するための多目的ルーム(約37㎡の部屋を予定しています/詳細別紙)
 ※ただし、利用時間は原則火〜日の10:00〜21:00とします。
・展覧会の開催(10月前半に2週間/enocoルーム2(約61㎡)を予定しています/詳細別紙)
・制作補助費(10万円)の支給 
 ※上記を超える制作費・経費についてはアーティストの負担となります。
・広報サポート(Webサイト等での広報、プレスリリース発行、簡易チラシ作成など)
・enocoスタッフによるアドバイス・サポート(随時)
・外部審査員による中間レビュー・(必要に応じての)アドバイス
 ※ 入選アーティストには、今後enocoが実施する事業への参画をお願いする場合があります。
入選アーティストに
課せられる要件
・制作期間中にワークショップを1回以上実施すること。
・制作期間中に10日以上、enocoのアトリエを公開すること。
・8月下旬に展覧会プランについて中間発表を行うこと(一般公開)。
・制作の成果を報告する展覧会をenocoと協働して企画・開催すること
・ 展覧会終了後に振り返りミーティングをおこなうこと(一般公開)。
審査員 平田 剛志(京都国立近代美術館研究補佐員/つくるビルアドバイザー)
宮本 典子(デザイン・クリエイティブセンター神戸[KIITO]マネージャー・パブリシティリーダー兼務)
応募資料 ・所定の応募用紙(本ページにてダウンロードしてください)
・制作プランイメージ資料(A3版5枚以内/片面のみ/書式自由)
・これまでの作品制作・展覧会実施などの経歴がわかる資料(紙資料はA4サイズに統一/片面のみ/10枚以内、映像資料はDVDで30分以内、音源資料はCDで提出してください)
 ※応募の際にいただいた個人情報は応募に関する問い合わせ・選考結果についての連絡・審査の目的以外に使用しません。
 ※応募資料は原則として返却しません。
応募期間 2014年6月1日(日)〜8月31日(日)必着
 ※封筒に「アーティスト・サポート応募資料」と朱書きの上、郵送あるいは持参してください。
(ただし持参の場合の受付は火〜日10:00〜21:00/enoco1F事務所まで直接ご持参ください)
審査結果の発表 2013年6月上旬に応募者全員に通知するとともに、HPにて入選者を発表します。
応募書類提出先・
お問い合わせ先 
大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]
  〒550-0006 大阪市西区江之子島2丁目1-34
  TEL: 06-6441-8050/FAX: 06-6441-8151 メール:art@enokojima-art.jp
  ホームページ http://www.enokojima-art.jp/
  ※審査結果についてのお問い合わせにはお応えできません。

 

審査員プロフィール(50音順)

▼ 平田 剛志(京都国立近代美術館研究補佐員/つくるビルアドバイザー)
1979年東京生まれ。2004年多摩美術大学美術学部芸術学科卒業
2008年~2011年までアートウェブマガジン「カロンズネット」にライター・編集として参加(2010年より編集長)。
2012年より現職。2012年12月、京都・五条にオープンしたアトリエビル「つくるビル」のアドバイザーとしてプロジェクト始動時より参加、関西を拠点に、美術批評、キュレーションなど幅広く活動を行なっている。

▼ 宮本 典子(アートマネジメント・コンサルティング office N 代表/ART OSAKA事務局)
1980年 茨城県生まれ。
2007年 ヘルシンキ工科大学建築学部IAP修了。
大阪の現代美術ギャラリーで6年間勤務した後、2013年よりアートマネジメント・コンサルティング office N を設立する。
現代美術の展覧会やイベントのコーディネートの他、企業と共に現代アートを活かしたCSRプログラムの開発、大学で学んだ建築意匠設計の技術を活かし、建築空間への現代アート作品のコーディネート業務を行う。

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