須田剋太 街道をゆく 挿絵
近畿では全部で24のみちを描いている。
近畿は大和・飛鳥・奈良・京都と古代より長らく政治の中心があったため、重要な史跡・旧跡が数多く残っている。
また、須田剋太は戦中に関西に移住し、戦後は西宮に住まいを定め、司馬遼太郎も大阪在住ということもあって、
二人が日帰りで訪れることのできる場所や縁のある土地も多く、「街道をゆく」の中でもっとも多く描かれている。
作品数：10点 週刊朝日掲載年月：71/1-71/7
25年にわたって連載された「街道をゆく」の、記念すべき第1回のシリーズ。
琵琶湖の西岸を北上し、安曇川(あどがわ)から川の上流に向かって朽木村に入り、若狭街道（朽木街道）に合流するルートである。
作品数：11点 週刊朝日掲載年月：71/1-71/7
難波・河内・堺と飛鳥・大和を結ぶ日本最古の街道。
613年に推古天皇が造ったといわれている。
遣隋使の小野妹子もこの道を通って大陸に向かった。
作品数：10点 週刊朝日掲載年月：71/1-71/7
金剛・葛城・二上山の東を南北に走る道である。
この道が通る一帯は、古代豪族の鴨氏・葛城氏の本拠地で、それぞれの
祖神（うじがみ）を祭る高鴨神社・高天彦(たかまひこ)神社がある。
作品数：10点 週刊朝日掲載年月：73/5-73/7 74/12-75/5
現在の奈良県橿原市・明日香村・高取町のあたり。
白壁造りの歴史的町並みの残る今井町や、飛鳥時代の高松塚古墳、
高取城跡、壺阪寺と歴史的な遺産が多く見られる。
作品数：7点 週刊朝日掲載年月：75/6-76/1
西吉野村は奈良県の南西部に位置し、梅林や柿の生産などで知られている。
村のほぼ中央部でV字渓谷をなして流れる大和丹生川(やまとにうがわ)は、
大峰山脈を源流とし、五條市で吉野川に合流する川である。
作品数：33点 週刊朝日掲載年月：77/10-78/1
十津川村は、紀伊半島の中央部に位置する日本最大の村で、
その面積は奈良県の約五分の一を占める。
古くから大和と紀州・伊勢を結ぶ要衝の地で、江戸時代には
天領として代官所が置かれるなど、南大和の中心地であった。
作品数：24点 週刊朝日掲載年月：84/1-84/7
かつて平城京が遷都され、政治・文化の中心となった古都・奈良。
「街道をゆく」では、奈良市の東大寺・興福寺や、
桜井市の多武峰(とうのみね)談山神社などを巡る。
作品数：9点 週刊朝日掲載年月：72/10-73/5
紀州街道は、大阪を起点に和泉地方を縦断して和歌山に至る道。
堺市内の街道沿いには、千利休屋敷跡、津田宗久ゆかりの南崇禅寺、
菅原道真が太宰府へ左遷されるときに船待ちをした船待神社などがある。
作品数：16点 週刊朝日掲載年月：72/2-72/9
河内と大和との境には、生駒・信貴二上・葛城・金剛の山並みが続く。
「街道をゆく」では、その山麓・山中の史跡を訪ねた。
ダンジリで有名な若江や大ヶ塚の集落、慈雲ゆかりの高貴寺、
西行法師の墓がある弘川寺、楠木正成ゆかりの観心寺、千早城跡などがある。
作品数：28点 週刊朝日掲載年月：84/1-84/7
近江国は京の都に近く、北陸や東国とも接していたので、古くから交通の
要衝であった。そのために、戦国時代に天下取りを目指す武将たちが築いた
城や、江戸時代に交通の便を生かして活躍・成功した近江商人の邸宅・
白壁の蔵などが残っており、趣のある町並みを形成している。
作品数：8点 週刊朝日掲載年月：73/5-73/7 74/12-75/5
甲賀・伊賀はともに忍者の里として知られている。
「街道をゆく」では、伊賀上野城を出発し、多良尾(たらお)集落・
御斎(おとぎ)峠・焼物で知られた信楽・聖武天皇が造営した紫香楽宮などを
巡り、琵琶湖の東・瀬田へ向かった。
作品数：16点 週刊朝日掲載年月：72/10-73/5
北国街道は、琵琶湖の東、関ヶ原から木之本町を経て、
栃ノ木峠を越えて福井県今庄町に入る道。
その脇街道とは、西近江路のことで、琵琶湖の西岸、
海津から北上し、敦賀を経て、木ノ芽峠から今庄町に入る道である。
作品数：56点 週刊朝日掲載年月：80/12-81/6
越前は、現在の福井県である。県内を流れる九頭竜川沿いには、
名所が多数存在する。
永平寺は、曹洞宗の大本山として道元が開いた寺である。
宝慶寺(ほうきょうじ)は、道元を慕って日本へ来た中国の僧・寂円が開いた。
美しい苔に覆われた平泉寺白山神社も有名である。
作品数：47点 週刊朝日掲載年月：79/10-80/3
比叡山は京都と滋賀の県境にそびえる山。平安時代に
最澄が建立した天台宗の総本山延暦寺があり、
それを中心に幾つもの堂塔が建ち並ぶ、厳かな聖域である。
作品数：14点 週刊朝日掲載年月：72/10-73/5
京都市の北部から、京都府京北町を巡る道で、
鞍馬街道・山国街道・周山街道にあたる。
街道沿いには修験道の行場である鞍馬寺・
峰定寺(ぶじょうじ)や、桜の寺として知られる常照皇寺、
戊辰戦争で活躍した郷士集団「山国隊」で知られる山国の集落などがある。
作品数：21点 週刊朝日掲載年月：85/1-85/7
京都市の北西に位置する嵯峨野は、もとは広い原野であったが、
古代に渡来系氏族の秦氏が切り開いた。
秦氏にゆかりある松尾大社や渡月橋は、
現在は観光地として知られ毎年多くの人が訪れている。
作品数：28点 週刊朝日掲載年月：89/4-89/11
大徳寺は、京都市北区紫野にある大燈国師が開いた臨済宗大徳寺派の大本山。
敷地内には本坊のほかに二十以上の塔頭寺院があり、「一休さん」の愛称で
知られる。一休宗純といった名僧を多く輩出している。
また、東山文化に深く関係しており、村田珠光や千利休など、
茶人ともゆかりが深い。
作品数：10点 週刊朝日掲載年月：72/10-73/5
京都と丹波を結ぶ道。大原野を起点に、亀岡を経て、丹波篠山へ向かう。
亀岡・篠山ともに山陰道の要衝として城が築かれ、城下町として栄えた地である。
また、篠山城跡の西南にある立杭(たちくい)は、
丹波焼の里として知られている。
作品数：12点 週刊朝日掲載年月：79/7-79/10 82/10-82/12
神戸は古くから港町として栄えたが、近代的な神戸の町並みの形成は、
神戸港開港と外国人の居留に始まる。
なかでも北野町は外国人たちが建てた「異人館」と呼ばれる洋風住宅や、
歴史的建造物が集中している。
作品数：22点 週刊朝日掲載年月：73/5-73/7 74/12-75/5
本州と淡路島間の明石海峡を渡るには、明石海峡大橋の完成以前は
明石からの播淡汽船が利用されていた。
「街道をゆく」では、淡路島北端の石屋神社、三熊山の洲本城跡、
西海岸を北上した後、国生み神話ゆかりの伊弉諾(いざなぎ)神宮などを巡った。
作品数：18点 週刊朝日掲載年月：76/1-76/10
揖保川は、兵庫県姫路市の西を南北に流れる川で、
川に沿って鳥取と姫路を結ぶ因幡街道が走る。
流域の龍野市はかつて城下町
として栄えた。瀬戸内海に面した室津もまた古くから
遣唐使・朝鮮通信使・参勤交代の船などの寄港地として賑わった港町である。
作品数：23点 週刊朝日掲載年月：75/6-76/1
熊野街道は熊野詣の道でいくつものルートがある。
最も利用された大辺路(おおへち)は京都・大阪から海岸沿いに
行く道だが、この道が台風などで通行不能のときに避難道として利用された
のが古座街道である。周参見(すさみ)川と古座川の二つの渓流に沿って山中
を行く道である。
作品数：12点 週刊朝日掲載年月：76/1-76/10
高野山は周囲を山に囲まれた山上盆地で、
平安初期に弘法大師空海が真言密教の修行の地として開いた。
山上には総本山金剛峰寺をはじめ、塔頭・宿坊寺院が立ち並ぶ。
作品数：16点 週刊朝日掲載年月：88/4-88/8
紀ノ川は、大台ケ原に源を発し、奈良・和歌山を横断して紀伊水道に流れ込む川。
その川に沿って、紀伊と大和を結ぶ大和街道が走る。
大和街道は、参勤交代に利用されたほか、
分岐して根来寺や高野山へ通じる信仰の道でもあった。
